CSP 0806 中間講評/夕食会

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昨年から準備を続けてきたワークショップ「City Switch 出雲」のために出雲に来ています。慌ただしくなかなかブログを更新できませんが、後ほど追っかけでアップしてきたいと思います。


8月6日はワークショップ四日目。午前中は各スタジオの作業時間。少しゆっくりめに自宅で過ごした後、一畑電鉄(通称バタデン)で電鉄出雲市駅へ。歩いてサンロード中町・高瀬川スタジオの作業場所のあるサンロード中町へ。空き店舗の一つを作業場所として借りている。しかし作業場所にはシャッターが下りている。皆はホテルで作業を続けているようなので、ホテルに向かい、プレゼンテーション準備作業を見せてもらう。実質的な作業は調査を含めて二日に満たないが、なかなか的確な観察と提案になっている。

準備の様子を見届けて、駅前に。ここ数日首がいたくてしょうがない。駅ビルにあるマッサージ店で30分ほど首を揉んでもらい、一人で昼食をとり、静かに考える。

午後1時30分、駅前にワークショップ参加者が集まってくる。総勢30名ほど。中間講評の会場である古志古民家塾は駅からは車で15分くらいかかるので、地元の建築家のみなさんが車をだしてくれ、ピストン輸送で学生を送り届けてくれる。講師の田島則行さんも今日からワークショップに合流。

中間講評開始予定時間の2時を少し過ぎたときに古志古民家塾に到着。ここは古民家の再生をワークショップ形式ですすめている場所。蔵の中は現在出雲建築フォーラムの代表を勤める江角さんのアトリエになっていて、土間の空間はイベントのスペースとして利用したり、食事をみんなで楽しんだりするスペースとして楽しそうに使われている。今日はここに35名ほどの学生と、8名の講師、その他たくさんのスタッフの方が集まった。

最初は「サンロード中町・高瀬川 スタジオ」。15世紀からつづく商店街の歴史、都市的コンテクストの分析、商店街からは隠れている町家の緑が見えるようになっていることの可能性、地下を流れる豊富な地下水脈、などについて発表。それぞれのアイデアをモンタージなどを利用して魅力的に提案してくれた。「神迎の道 スタジオ」はそれぞれの観察やファーストアイデアの発表の後、一種のアートプロジェクトの提案をしてくれた。「八百万(やおよろず)の神」ということを、オーストラリアの学生が持参した辞書には「8 million gods」と訳してあった誤訳をきっかけに、膨大な量と密度、というものを表現するアートプロジェクトを構想。もし神迎えの道に8,000,000の神様が立つとすると、一平方メートルあたり1350人の神様がいることになる、という計算を生真面目にしてみていたスタディが面白かった。「木綿街道 スタジオ」は地域の分析につづいて、ワークショップ最終日の前日夜にイベントを実施すると宣言。突発的なイベントを(半ば強引に)実現させることで、街の中に隠れている資源や、人のネットワークを浮かび上がらせることになるのではないかと思う。

中間講評後はそのまま夕食会へ突入。ビールを片手に議論を続行。てづくりのかまどで焼いた手作りピザや、家庭料理、おいしいパスタなどをいただく。古民家の庭には到着したばかりの東北芸術工科大学の学生によるパビリオンが出来上がっている。

その後、パビリオンの製作過程を東北芸術工科大学の学生のみなさんに発表してもらい、講師の猪熊純さんに自作を中心としたレクチャーをしていただく。猪熊さんの作品をきちんとみたのは初めてだったが、直感とロジックの組み合わさった、知的でありながら詩的な世界が展開しているとおもった。インスタレーションやインテリアの仕事も多く、今回のワークショップの講師をお願いしてよかったと思った。最後は出雲建築フォーラムの龜谷、難波、江角の三氏のレクチャーを聞く。出雲らしさということを三者三様に追求しようとされている様子が面白かった。

講評会、夕食会ともに、古民家塾の空間、そしてそれをとりまく山裾の緑によって、真剣でありながらも柔らかな空気の流れたものになったと思う。そいった時空間がもてることが「らしさ」なのかもしれないと思う。