最初にやるということ

午前中の空いた時間を使って神宮外苑の絵画館に吉岡徳仁さんのCrystal Palaceのインスタレーションを見に行く。


前庭ではTDWの撤去作業がまだ続いているため、建物の横の通用口のようなところから建物に入る。


インスタレーションはスワロフスキーの20,000個のクリスタルと5,000本のグラスファイバーをつかったシャンデリア。クリスタルが一種のディスプレイになっていて、映像が映る。


非常に美しいインスタレーションだったけど、薄暗い空間のなかででも、結構かすかな映像で、正直いって驚きはあまりなかった。自分自身のプロジェクトとしても同じようなドローイングを書いたこともあり、実際にやるとこういう感じなのか、と思いながらみていた。


でも、、、
やっぱり考えていた、思いついていた、ということと、様々なことをクリアして最初に実現した、という事実の間には非常に大きな距離があると思った。


『僕たちは何を設計するのか』という本をまとめた時に、吉岡さんに3時間くらいインタビューする機会があった。本には収録しなかった部分だが、吉岡さんが「何か作品を発表すると、『自分はもっと早く考えていた』ということを行ってくる人が必ずいる」、といっていた。また、新しい素材を開発して作品としてつかって発表すると「この素材は平米いくらで買えますか?」という質問を同じクリエイターを名乗っているような人が平気で言ってくると憤慨していた。


なぜ吉岡さんにはイメージを実現する機会があり、僕にはなかったのか。
素材や技術やアイデアを、お金を出せば買える商品として捉えてはいないか。


追随するのは容易い。
出来るか、出来ないか、分からないところで先頭を走っていくのはとってもつらい。
でも、そこで踏みとどまれるようなクリエイターでありたいと思う。(願望です)


「僕たちは何を設計するのか」
http://buildinglandscape.com/blog/2004/09/post_7.html