(追記あり)親子三人で安全に使える自転車ほしい

自転車3人乗り禁止徹底 社会が後押しを 読者から多くの反発

 幼児二人を前後に乗せた「自転車の三人乗り禁止を徹底」の記事(二月四日付)に読者から多くの反響があった。その大半が取り締まり強化への反発だった。子育てに奮闘中の親にとって、三人乗りの禁止徹底は一大事。切実な「読者の声」を紹介する。

 「自転車がなければ、どうやって保育園に連れていったらいいのですか?」。ある読者からの手紙には怒りが込められていた。「保育園はどこも定員いっぱい。兄弟が一緒の保育園に入れず、別々の送迎先になると、なおさら自転車は必要。歩行者と自転車、自動車の安全な共存を図るため、もっと現場の声を聞いて対策を立ててください」

 「規制の対象を間違えている」「三人乗り禁止は少子化対策子育て支援に逆行している」「ガソリンの値上げより困る」「罰金覚悟で乗り続けます」といった激しい反発の声もあった。(中略)

 では、時間節約のために、自転車の三人乗りを活用している親はどうしたらいいのか? 

 先の記事で、子ども二人を乗せても「自転車を押して歩けば違反にはならない」と“押し歩き”を提案したが、「かえって危険」「実情が分かっていない」など多数の反対意見が寄せられた。

 「押し歩きをやったことありますか? はっきり言って無理。倒れます」「押し歩きだと全重量を腕だけで支えなくてはならず、重心が反対側に傾いてしまったら、もうどうしようもない」…。(中略)

 一方、消費生活アドバイザーで母親グループ「子育てグッズ&ライフ研究会」の河尻和佳子さんは、ある程度の距離に保育園がある場合、徒歩での送迎を勧める。

 「私は毎日歩いて通園していますが、子どもも自然と体力がつき、あまり『疲れた』と言わなくなった。早起きが必要になりますが、街のいろんな発見を親子でしたり、なかなか面白いですよ」とその効果を話す。(中略)

 警察庁は「現状では三人乗りは危険で認められないが、複数の幼児を持つ保護者らの切実さは認識している。三人乗りでも安全に走行できる自転車ができないか、自転車業界とも協議中」としている。安全な自転車ができれば、規制緩和もありうるようだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2008022802091185.html

東京新聞に2月4日に掲載した記事「子育てお母さんの反発ありますが…事故深刻 自転車3人乗り禁止徹底」への反響をまとめた記事。

記事への読者の反発をきちんとまとめて伝えようという姿勢は誠実だと思う。

子育ての状況は家族構成や、家事以外の仕事の有無、そのひと個人の性格や体力などによって様々だから、「徒歩で通園した方が体力がつくのでいい」とかいわれても、説得力ないでしょうね。

巣鴨で前後に子供を乗せて、背中に赤ちゃんをおんぶし、買い物の荷物も満載して自転車を走らせているお母さんを見ることがあります。「ちょっとあぶないな」とは思いますが、「楽をしようとしているんだろう」とか「時間を節約しようとしている」というような感想は浮かんできません。むしろ頭が下がります。

これだけいろいろ安楽なものごとで囲まれている社会で、子育てをしている人だけが「ソンをしている」と感じさせる議論は難しいでしょう。親の世代のように「今日より明日が良くなるはずだ」という希望をもちにくい時代に(幸せなことであるけど、同時に)勇気をもって子供をもとうという人々を元気づけるような議論はできないでしょうか。

政府は「待機児童ゼロ作戦」といっているそうですが、同時に「親子三人で安全に使える自転車(のようなもの)の開発」も予算に盛り込んでくれないかな。そうでないと、せっかく出来た施設に通うこともできない。

ちなみに、うちのママチャリにも、前後に子供をのせるイスが装着されています。


(追記)

記事投稿後、「歩いて通園、、、なかなか面白いですよ」という発言を引用されていた「子育てグッズ&ライフ研究会」のwebを見てみました。すると大変真摯な「ママチャリ」の問題点の調査と、お母さんの視点に立っての提言がまとめられていました。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/kosodateken/kenkyureport/mamachari/mamachari.htm

新聞記事だけ読むと、同研究会のコメントは、なんだか実情をとらえていないのんきな発言のようにも読めますが(僕はそう思って読みました)、実際は真逆の主張ですね。

編集って、怖いなと思いました(せっかく、反響をまとめているまじめな記事だと思ったのに)。