0324 建築家による建築家育成には

土曜日は横浜のBankART NYKで行われる、「建築教育の五原則」と題するシンポジウムにパネラーとして参加。横浜国大のY-GSAという建築家による建築家教育のためのスクールの開設にあわせたイベントで、学生が主催するイベントでした。

シンポジウムは最初にゲストとして呼ばれた他大学の助手、東京芸大の福井さん、東工大の中井さん、理科大の菊地さん、日大の大西さん、そして僕がそれぞれプレゼンテーションし、その後、Y-GSAの助手を加えていくつかのテーブルに分かれてディスカッションを行うかたちで進められた。


Y-GSAの詳しい仕組みについてはまとまった説明をうける時間はなかったのだが、いくつかおもしろい点がある。

設計の実務をしている建築家が教員として教えることを前提にしたこと、助手も事務所をもって活動していることが条件となっていること、学生は大学院の2年間、半年づつのスタジオを4回こなすことが活動の柱で、修士論文などの研究はないこと、など。設計事務所でのインターンが単位になることもあるらしい。


学生たちも新しい学校のありかたを、期待と不安をもって見守っているらしい。最初、学生主催でなぜ建築教育を考えるイベントが企画されるのか不思議な感じがしたのだが、どうやら自分たちの不安や疑問を近い世代である他大学の助手に聞いてほしい、アドバイスをほしい、ということのようだった。

シンポジウムやディスカッションではいくつかの論点がでたが、「研究」という柱をなくした大学はどういう存在意義があるのか、2年間スタジオをつづけるというのは充実しているがそのような与えられたカリキュラムをこなすことに終始するのは危険なのではないか、といった議論がかわされた。これはどうやら学生たちも感じていた疑問や不安であり、われわれがそれを代弁させられたような感じがした。


建築家による教育、には素晴らしい環境がととのっている。この仕組みが建築家を育てるのに有効なものなのか、注目している関係者は多いと思う。僕も含めて。