混迷

国交省vs職能団体、建築士制度見直しを巡って審議が紛糾

 現役の一級建築士の再判定か、はたまた設計事務所の業務区分か。構造計算書偽造事件を受けて見直しが進む建築士制度。国土交通大臣の諮問機関である社会資本整備審議会建築分科会の基本制度部会(部会長:村上周三慶応義塾大学教授)での議論が大詰めを迎えている。国交省は7月20日の会合で、設計事務所を業務区分するという案を提示したが、審議は紛糾。土壇場で示された新たな案に、委員は一様に戸惑いの表情を浮かべた――。

 会合では、二つの案を軸に見直しの議論が進んだ。専門資格者を指示できるように、既存の一級建築士を再判定して上位資格者のレベルアップを図る案(案1)と、設計事務所を業務区分し、一定の知識や経験を持つ人の配置を義務付ける案(案2)だ。事務局を務める国交省の担当者は、「基本的な考え方は変えていないが、やり方を変えた」「案1と案2の決定的な違いは、すべての建築士をふるいわけするのか、統括的なチェックをする人をふるいわけするかだ」と説明した。さらに、「最終的に責任を持つ人が、きちんと中身をチェックするということは最低限必要だ。能力に疑問がある以上、何らかの措置を講じなければいけない」と強調した。(以下略)

日経アーキテクチュア
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/free/NEWS/20060721/130706/

いろいろ紛糾しているようです。以前の記事にも書いたように、今回の再試験という制度は、問題の解決にはまったくつながらないので、紛糾するのは当然かなと。

ただ、建築設計界からも、一般のひとびとにきちんとメッセージを伝えていかなければ「抵抗勢力」の烙印を押され、建築設計業もまた古い土建社会の一部なのだなと理解されてしまいそうなのが危惧されます。


基本的には、今回の問題はモラルの問題であり、これには厳罰化しか対策はないように思います。もちろん、そんな不正に手をださなくてもいいくらい、設計に十分な報酬がえられれば、これも不正を減らす一つでしょうが、現時点では難しいでしょう。


設計者の「能力に疑問がある以上、何らかの措置を講じなければいけない」というが、能力がなかったのは、むしろ行政や民間の審査側ではなかっただろうか。どこかで議論のすり替えが行われているように思います。