4月14日 SHoP

SHoP ArchitectsのWilliam Sharples氏を迎えてレクチャー。3D CADを駆使した設計により、いわゆるグネグネ系の形態を作り出すと同時に、それを組立てる部材の施工図、というか部品図までを設計事務所で作成しているということ。多くの場合部品図がそのままレーザーカッターの加工用データになり、直接部品を生産することになる。部品図がすべてあるので、いわゆる(施工図としての)一般図には寸法すら必要ないという。それぞれの部品をどう組立てればいいかという、プラモデルの組立て説明書にあたるものがあれば、自然に形や大きさが決まってくるというわけだ。


部品図としては、構造部材から外装をなすルーバーの部品、金物、基礎コンクリートの型枠までを作るらしい。


またその部品の検証や、実際の加工業者との打ち合わせのために3Dプリンターやレーザーカッターを事務所に備えて、部品のモックアップを作ったり、実際に使う部品の加工に使ったりしているということ(東大でもぜひ、これらを購入するべきだと言われた。実際にはパソコンの購入にも四苦八苦しているけど)。


設計事務所としてここまでクリアに検討することで、訴訟社会のアメリカの中でスムーズな現場の進行や品質の確保をしていること、そういった点も評価されて大きな仕事を任せられつつあるという指摘は興味深かった。こういったアプローチは韓国でのプロジェクトのように距離のある場合や、中国のようにコスト問題からデザインのキモが容易にスポイルされるプロジェクトにおいては非常に有効であるという話は興味ぶかかった。


先日東大で伊東豊雄氏のレクチャーの話の中では、コンピュータを利用して、意匠面、構造面であたらしい建築が生まれつつあること、それを支えているのが現場の職人たちのクラフトマンシップであることが強調されていた。ある意味では(解決可能でなければならないが)難しい、取り組むべき問題を設定し、職人や使用者を巻き込み、その能力を最大限に引き出すことが建築家のビジョンの目的であるとも言えるかもしれない。


日米の建設を巡る状況の違いと言えばそれまでかもしれないが、最終的に求められる(あるいは建築家がそうありたいと願う)建築家象の違いと言えるかもしれない。


レクチャー後はミヤモトで食事。レクチャーの話を提案してくれたトヨダさんやそのガールフレンド、ワタナベさん、クワハラ夫妻など、SHoPを支えてきた日本人元スタッフたちと一緒に話を聞く。