(スナップ写真+物語)

HOUSE H」が掲載された「新建築 住宅特集2009年2月号」を読んでいたら建築史家の倉方俊輔さんの「物語の世紀に」というエッセイが載っていた。

住宅特集が縦書きのレイアウトに変更になったことに触れながら、近年の建築の受容のされかたが「(竣工写真+ロジック)から、(スナップ写真+物語)へ」変化しているとされていた。この指摘は最近のある種の風潮をするどく言い当てている。

「建築は音楽に近付いている。(中略)それは写真には写らない。だとしたら、そこに接近するのには、物語がよいのかもしれない。しかし、柔らかな物語が、つくり手と届け手と読者の共犯関係をいっそう深めてしまう危険性は捨てきれない。柔らかいだけに、より悪質に、閉じていきかねない。」という言葉は覚えておく価値があると思った。