建物の地力みたいなものって

分譲マンション老朽化に対処する政策を審議、国交省

 国土交通省は7月28日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会に設けたマンション政策部会の第1回会議を開き、分譲マンションの老朽化や大規模化などに対処する政策の審議を開始した。住宅宅地分科会長を務める越澤明北海道大学大学院教授が部会長に就き、2009年2月までに報告書をまとめる予定だ。

 住宅ストックの活用を標ぼうする住生活基本法が06年6月に施行されたことで、500万戸あまりに上る分譲マンションのストックについても、維持管理や修繕、建て替えなどを適切に行うことが、より重要になった。しかし、担い手となる管理組合は合意形成の難航や人材不足などのため、必ずしも機能していない。そのうえ、老朽化した物件では住民も高齢化して、修繕や建て替えに必要な資金を確保しにくくなることが多い。高層化などで大規模になった結果、管理組合の意思決定がいっそう難しくなった物件も増えている。(中略)

 各委員からは、中古マンションの売買で管理状況を積極的に開示させるべきだとする意見や、管理組合に対する行政のサポートの強化を求める声、区分所有という概念のあいまいさを問題視する声などが上がった。

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20080728/524713/

ヤマシロが現在借りて住んでいるのは、駒込の築43年のマンション。建設当時は億ションクラスの物件で、自分たちが借りているユニットが小さめの基準ユニットで88m2。200m2を超えるユニットもある。設計は久米建築事務所(現 久米設計)。

僕は単なる賃借人だが、縁あってこのマンションのリニューアルのマスタープランを作成している。

構造的には心配したほどひどくはなさそうだが、設備の古さは否めない。配水管はぼろぼろで、空調はいまだに灯油炊きの各住戸単位のセントラル方式。セキュリティもないに等しいし、バリアフリー化も住民の高齢化にともなって重要な課題になっている(エレベーターは二戸一で設置されているのだが、半地下方式なのでエレベーターに乗るためには半階分階段を上り下りしなければならない)。

課題は山積しているが、建物そのものの魅力と可能性に惹かれて移り住んで来た若い世代がきっかけとなってリフレッシュ工事への機運が高まっている。僕自身もいつも前を通っていて、気になる建物であったことがこのマンションに移り住んだきっかけだった。

魅力を感じてもらえる建築そのものの地力みたいなものが、結局建物の超寿命化には欠かせない要因なのだろうと感じる。