住所レス

「公園が住所」認めず、野宿男性が逆転敗訴…大阪高

 大阪市北区扇町公園でテント生活をする無職山内勇志さん(56)が、公園を住所と認めないのは不当として、北区長を相手に、転居届の不受理処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が23日、大阪高裁であった。田中壮太裁判長は「健全な社会通念に基づいた住所としての定型性を備えておらず、住民基本台帳法の住所にはあたらない」と述べ、公園を住所と認定した1審・大阪地裁判決を取り消し、山内さんの請求を棄却する原告逆転敗訴の判決を言い渡した。山内さんは上告する方針。

 判決によると、山内さんは1998年ごろから同公園内で生活し、2000年3月ごろにテントを設置。04年3月、公園を住所とする転居届を出したが、不受理とされた。

 判決で、田中裁判長は、住民基本台帳法上の「住所」について、「客観的に生活の本拠としての実体を備えているかどうかで決定すべきで、単に一定の場所で日常生活が営まれているだけでは足りない」と判断。

 そのうえで山内さんのテントについて、「簡易な構造で容易に撤去でき、土地に定着しているとみることができず、テントの所在地に住所を有するとは言えない」と指摘した。(以下略)

http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20070123p202.htm

ホームレスであるということは、住所レス。当然いろいろな公共のサポートを受ける上でも、仕事につくについても、ひとつの大きなハードルになるのでしょう。


ホームレスの人たちをどうするか、というのは大きな問題だけれど、それと同時に、住まう、ということが非常に限定的にとらえられているのだなと、改めて思った。ほとんど一カ所には留まっていないような人でも、動かない住所が必要。その住まいは「土地に定着した」ものでなければならない。

例えば、東京で週に3日、沖縄で4日、というような住まい方も想像できるけれど、どちらかを「住所」と定めて、どちらかに納税するんですよね。3:4で納税したい、住民サービスを受けたい、というようなことは認められないんでしょうかね。

「健全な社会通念に基づいた住所としての定型性」はもう少し拡張されてもいいのではないでしょうか。流動化した住まい方、というのはまだまだ法的な意味では位置づけられていないようです。